最新の研究によると、数百年を生きるオークの木は、栄養素の吸収方法を柔軟に変化させることができることが分かりました。これは、森林が気候変動との闘いにおいて、これまで考えられていたよりはるかに回復力のある存在である可能性を示唆しています。

文：Warren Cornwall
2025年7月16日

温室効果ガスによる汚染には多くの悪影響がありますが、一つだけ潜在的なメリットがあります。それは二酸化炭素は植物の栄養源だという点です。大気中のCO2濃度が上昇すると、一部の植物は成長が急増すると予想されています。

これは単に植物の増加を意味するだけではありません。植物が空気中から二酸化炭素を吸収し、根や葉、幹に貯蔵することで、一部の炭素汚染を相殺する可能性もあります。

しかし、単純に二酸化炭素が増えれば緑が増えるというわけではありません。人間がエネルギー豊富な炭水化物だけで生きられないのと同じように、植物は窒素や鉄などの栄養素を必要とします。では、大気中に二酸化炭素の「栄養源」が増えた場合、植物、特に長寿の木々はそれを有効に利用できるのでしょうか？

イギリスの中央部にある19世紀半ばに遡るオークの森が、その答えの手がかりを握っています。そこで科学者たちは、木の適応能力の素晴らしさを目撃してきました。今週発表された『米国科学アカデミー紀要（PNAS）』の研究結果によると、少なくとも一部の樹種、特に古い木々でも、二酸化炭素の過剰分を有効活用できる能力を備えていることが示されています。これは、木々にとっても気候にとっても朗報です。

「今回の発見は、木々が従来考えられていたよりも成長を最適化する能力に優れており、土壌の栄養供給が維持される限り、高濃度の二酸化炭素大気下でもその柔軟性を維持し続けることを示している」と、イギリス・ブリストル大学のポスドク研究員で研究に参加したMichaela Reay氏は述べています。

一部の栄養素は植物の成長に不可欠です。これは農家が肥料を土壌に混ぜる理由の一つであり、鉄分豊富なクジラの排泄物が藻類の増殖を促進する理由でもあります。さらに、窒素はクロロフィル（光合成に不可欠な緑色の色素）の構成要素であり、植物が太陽光、水、二酸化炭素を糖と酸素に変換するプロセスに不可欠です。

木々がこのような栄養素の摂取量を増加させるための主な戦略は三つあります。一つ目はより多くの根を伸ばして土壌のより広い範囲にアクセスすること、二つ目は土壌に化学物質を放出することで微生物の活動を活性化させ、栄養素を放出させること、そして三つ目は共生する土壌菌類とのつながりを強化し、木と炭素や栄養素を交換する、という方法です。

温室効果ガス濃度が急上昇する中で、古木がこれらの手段を今でも柔軟に活用できるかどうかを調べるため、Reay氏と彼女の研究チームはイングランド中部の樹齢180年以上の森に注目しました。2017年以降、研究者たちは成熟したオークの木立を取り囲む空気中に追加の二酸化炭素を放出し、21世紀半ばに予想される温室効果ガス濃度を再現する実験を実施してきました。これはバーミンガム森林研究所（Birmingham Institute for Forest Research）の「開放系大気二酸化炭素増加実験（Free Air Carbon Dioxide Enrichment）」として知られています。

2020年と2021年、研究者は木と土壌のサンプルを繰り返し採取し、CO2を浴びた木々が栄養素の吸収において未処理の木々と異なる行動を示すかどうかを調査しました。

その結果、これらの古いオークの木は、実際、新しい適応能力を示していることがわかりました。研究者たちは、二酸化炭素を多く浴びた木々が、窒素の吸収を高めるために3つの戦略をすべて活用している証拠を発見したのです。さらに、木々は年間を通じて異なる条件に合わせてアプローチを変化させ、同じ動きを繰り返すのではなく、複雑なダンスを踊るかのように多様な対応を見せていました。

「根は単に土壌から水分や栄養を吸収しているわけではない。年間を通じて多様な栄養探索戦略を使い分けながら、土壌微生物との間で高度に専門的なトレードオフを行うという、賢くダイナミックな動きを見せている」とReay氏は述べています。

植物の根は、現在の二酸化炭素濃度下で生育する木々に比べて、土壌に微生物の栄養源となる炭素をより多く放出していました。特に、微生物が最も活発に活動し、長い日照時間により木が炭素を余分に持っていた夏の成長期ピーク時において、その傾向が顕著でした。

一方、秋になると木々が葉を落とし始める中で、科学者たちはエクトミコリザと呼ばれる共生菌のネットワークの成長がより活発になるのを観察しました。これらの菌は、落ち葉などの森林の残渣を分解し栄養分を放出する専門家です。高炭素環境下にある木々は、これらの菌のバイオマスが3.6倍まで増加していました。

一方で、炭素を多く取り込んだ木々は、分岐の多い根も成長させていました。これにより、栄養素が存在する可能性のある土壌の隙間に、より深く入り込むことができると考えられます。

この研究結果から、十分な栄養素が存在する場所においては「成熟した温帯林が気候変動対策において重要な役割を果たす可能性がある」と、研究に参加したエクセター大学の科学者、Iain Hartley氏は述べています。

しかし、それが実現するかどうかは、木々がこうした様々な手段を駆使して土壌からより多くの栄養を吸収し続けた場合に、最終的に土壌の栄養が枯渇してしまうかどうかにも左右されます。その点については、今後の研究課題であると科学者たちは述べています。

出典：Reay, et. al. “Elevated CO2 alters relative belowground carbon investment for nutrient acquisition in a mature temperate forest.” Proceedings of the National Academy of Sciences. July 15, 2025.
画像：John/Deviant Art

新しい衛星調査によると、一部の高度に保護された海洋保護区は産業漁業を抑制しています。しかし、多くの保護区は漁船で溢れており、より効果的な取り締まりが必要であることが浮き彫りになっています。

文：Warren Cornwall
2025年8月6日

地図では、近年海洋の保護が大きく進んでいるように見えます。しかし、衛星データは、あまり楽観的ではない状況を示しています。

紙面上では、人間による生態系への影響から守ることを目的とした海洋保護区（MPA）の面積は、21世紀初頭の500万平方キロメートル未満から、現在では2500万平方キロメートルを超えるまで拡大しています。これは世界の海洋の9％以上に相当します。

しかし、瞬きしない衛星の目を使って観測している科学者たちは、多くの保護されたはずの海域が依然として産業的な漁業船団の標的となっていることを発見しました。今回の新たな研究は、数値目標を達成するために単に保護区を宣言するだけでは不十分であるという落とし穴を浮き彫りにしています。例えば、2030年までに海洋の30％を保護するという広く知られた目標などがその一例です。

しかし、悪いニュースばかりではありません。厳格な保護措置が実施されている保護区では、その効果が約束通りに現れる可能性があることを示す兆しもあります。そして、これらの科学者たちが用いたのと同じハイテク技術が、その実現を後押しする手助けになるかもしれません。

「漁業の監視を強化し、透明性を高める必要がある」と、フランス・モンペリエ大学の生態学者で、先週『Science』誌に発表されたこの問題に関する2つの研究のうちの1つの筆頭著者であるRaphael Seguin氏は指摘しています。

Seguin氏と共同研究者たちは、世界中の沿岸にある6,000ヶ所以上の保護区域を分析しました。これらの区域は、保護区全体の面積のわずか17%に過ぎません。最大規模の保護区の多くは海岸から遠く離れているからです。しかし、陸地に近い保護区ほど、激しい漁業圧力にさらされる傾向があります。また、これらの区域は、大型船を探知できるレーダーを搭載した欧州連合の衛星「Sentinel-1」によって監視されています。

科学者たちがこれらの衛星画像を確認し、さらに多くの大型船舶に搭載が義務付けられているビーコンの追跡情報を補足して分析したところ、2022年から2024年の間にこれらの保護区のほぼ半数で産業用漁船が確認されました。そのうちの約3分の2は、監視担当者には「見えない」状態でした。これは、船にビーコンが搭載されていなかったり、送信信号が受信されていなかったり、あるいは意図的にビーコンをオフにして追跡を回避していた可能性があるためです。しかし、彼らは衛星の目からは逃れることができませんでした。

健全な保護区を維持するために、すべての種類の漁業を禁止すべきかどうかについては議論があります。しかし、保全研究者の間では、産業規模の漁業は健全な保護区と相容れないという点で広く一致しています。例えば、国際自然保護連合（IUCN）が定めるガイドラインでは、産業的な漁業は6種類の海洋保護区のいずれにおいても除外されています。

今回の新たな研究では、観測データとコンピューターモデルを組み合わせた分析により、船舶がこれらの沿岸保護区で操業していた時間は、驚くべきことに2,400万時間にも上ると推定されました。この数値には、ビーコンを使用していない、または衛星に映らないような小型漁船は含まれていません。最も活発な漁業活動が集中する地域は、活発な漁船団を有し、保護区内に広大な海域を有する日本、イギリス、スペインといった裕福な国々に集中していました。同様に、保護区内で漁船が最も密集していた地域は、ベルギーとオランダの沖合、および中国でした。

一見すると、最も規制の厳しい保護区が漁業を排除する点でより効果的だったように思えるかもしれません。IUCNの最も厳しいカテゴリーであるIとIIに分類された地域は、漁船の数が少ない傾向がありました。しかし、これらの地域はアクセスが困難な傾向にもありました。研究者が各保護区の規模と遠隔性を考慮した結果（これらの要因は漁師にとっての魅力を左右する）、より厳しい規制を適用した地域が必ずしも良い成果を上げているわけではないことがわかりました。

Seguin氏によると、これは政策立案者が、漁業圧力が最も高い地域ではなく、保全の「ポイント」を稼ぎやすい地域に厳格な規制を課していることを示唆しています。

「これは、国際的な目標を容易に達成するため、漁業圧力が低い地域に海洋保護区（MPA）を設置するという場当たり的な戦略を明らかにしている」と、彼は『The Conversation』の解説記事（フランス語からの翻訳）で述べています。

この研究は、同じ号の『Science』に掲載された別の関連研究の結果が見た目ほど楽観的ではない可能性を示唆しています。別の研究チームは同様の手法を用いて、最も厳格に規制された海洋保護区内での漁業活動の実態を分析しています。

その結果、これらの海域には漁船がほとんど存在しないことがわかりました。総面積320万平方キロメートルにおよぶ455の保護区を調査したところ、衛星画像に映った漁船の数は、2万平方キロメートルあたりわずか1隻しか確認されませんでした。これは、保護されていない沿岸水域に比べて平方キロメートルあたりの漁船の数が9分の1であることを意味しています。

これらの研究の主なメッセージは、「適切な投資が行われた保護区は必ず成果を上げるということ、そしてその投資を守るうえで衛星技術が重要なツールとなり得ること」だと、カナダ・ダルハウジー大学の生物学者で、どちらの研究にも関与しなかったBoris Worm氏は述べています。

このより前向きな研究を行った科学者たちは、自分たちの研究結果がもう一方の研究と矛盾しているように見えるのは、最も厳しく規制されている保護区を特定するために、ProtectedSeasという団体が作成した、より包括的な評価システムを用いたことが一因かもしれないと述べています。

しかし、この研究チームの分析の一部は、Seguin氏らのグループが指摘したのと同じ要因、すなわち、これらの海域がもともと漁業の盛んな場所ではなかったことが、結果に影響を与えている可能性も示唆しています。研究チームが、厳格な保護区が設置される前後で衛星やビーコンによる観測データが得られている72か所を調査したところ、そのうち61か所では、設置前から漁業活動がほとんど、あるいはまったく行われていなかったことがわかりました。研究者たちは、「多くのMPA（海洋保護区）は、もともと漁業がほとんど行われていなかった場所に設置された可能性がある」と述べています。

主な例外はパラオ国立海洋保護区で、保護区が設立された後、漁業活動は年間51,000時間から215時間に急減したことが研究者らによって判明しています。

両グループの研究は、現在の海洋保護区の状態について異なる見解を示していますが、1つの点では一致しています。それは、衛星などのツールが、将来的に保護区内での違法漁業を監視する強力な手段となり、これらの保護区が単なる「見せかけの保護区」で終わらないようにするために重要な役割を果たす可能性があるということです。

出典：Seguin, et. al. “Global patterns and drivers of untracked industrial fishing in coastal marine protected areas.” Science. July 24, 2025.
Raynor, et. al. “Little-to-no industrial fishing occurs in fully and highly protected marine areas.” Science. July 24, 2025.
Worm, B. “A catch in ocean conservation.” Science. July 24, 2025.
画像：© Athanassios Lazarides | Dreamstime.com

カリフォルニアに生息するアンナハチドリのクチバシは、人々が人工的なフィーダーを吊るすようになってから長くなっていたことが、新たな研究で明らかになりました。

文：Warren Cornwall
2025年6月11日

進化に関する発見は、長い間、鳥のくちばしと関係してきました。

ガラパゴス諸島のフィンチのくちばしの形は実に多様で、チャールズ・ダーウィンの自然選択説を象徴するものとなりました。くちばしは長い時間をかけて、特定の島で手に入る食物により適した形に進化したのです。

同じように、アンナハチドリ（Calypte anna）のくちばしは、人新世における進化の象徴になるかもしれません。この小さな鳥のくちばしの形は、過去150年間の間に劇的に形を変えてきました。色鮮やかでアクロバティックなハチドリを呼び寄せるために、シロップ入りのフィーダーを吊るす人が増えたことが要因だと、科学者たちは最近『Global Change Biology』誌で報告しています。

この新たな発見は、人間の影響によって動物の体が変化した「教科書的な」例のように思われると、この研究には関与していないケンブリッジ大学の鳥類の進化を研究するElizabeth Steell氏はこの新発見について述べています。

ハチドリは、餌を得るためのユニークな適応能力で際立っています。長い針のようなくちばしを持ち、花の奥深くにある蜜を取ることができ、空中でホバリングできるほど素早く羽ばたき、花に近づきます。人新世は、このような動物の多くにとって優しい時代とは言えません。北米に生息するハチドリの多くは近年減少しており、生息地の喪失や花の開花時期の変化がその原因と考えられています。しかし、アンナハチドリは例外です。かつてはカリフォルニア州南部とメキシコのバハ半島の一部に生息していたこの鳥は、20世紀の間に生息域を広げ、西海岸全域に広がり、ブリティッシュ・コロンビア州まで北上しています。

この分布拡大の背景に何があったのか、そして19世紀のイタリアの公爵夫人にちなんで名付けられたこの鳥の体にどのように刻まれてきたのかを解明するため、科学者たちは、古い新聞や1860年代から保存されてきた約400羽の標本を含む、少し変わったデータソースの組み合わせに注目しました。

1800年代以降、人々はカリフォルニアに2つのハチドリの餌となる可能性のあるものを持ち込んでいます。花の咲くユーカリの木とハチドリのフィーダーです。1850年代に州全体に植えられたユーカリの木は、冬の間、蜜でいっぱいの花で覆われます。一方、レクリエーション用のハチドリのフィーダーは、ボトルに入った砂糖水を小さな花のような装飾のノズルから吸えるようになっており、ハチドリにとって一年を通じて利用できる餌の供給源となりました。その人気は、1928年のナショナル・ジオグラフィック誌の記事にさかのぼることができ、このようなフィーダーでハチドリを「手なずける」方法が紹介されています。商業製品として爆発的に普及したのは第二次世界大戦後のことで、1947年には最初の特許が取得されました。

しかし、ユーカリの木やハチドリ用フィーダーの普及状況について、体系的な調査を行っている人はいませんでした。そこで研究者たちは、おおよその数を把握するため、1860年以降のカリフォルニア州の新聞記事のデジタルアーカイブを調べました。そして、特定の郡の新聞においてユーカリの木かハチドリ用フィーダーのどちらかが広告や記事で記載されていた回数を記録しました。その結果を、カリフォルニア州で1938年から毎年行われている、鳥の個体数を追跡するためのイベント「クリスマス・バード・カウント」と比較しました。科学者たちはまた、国勢調査のデータから、この地域一帯の人口増加も追跡しました。分析の結果、アナハチドリの分布拡大は、ハチドリ用フィーダーが徐々に普及し、地域人口が増加したこととよく一致しており、これら三つの事柄が相互に関連していることが示唆されました。

ハチドリのくちばしには、フィーダーとの関連を示すさらなる手がかりが隠されていました。カリフォルニア大学バークレー校の博物館で、科学者たちは1861年から2020年の間に保存された約400羽のアンナハチドリの標本を調査しました。その結果、時間の経過とともにハチドリのくちばしは長くなっていることがわかりました。これは、舌をより餌に近づけ、くちばしをより大きくすることで、砂糖水をより効率よく吸い取れるようになったと考えられると研究者たちが報告しています。また、くちばしの長さの変化は、地元紙に掲載されたフィーダーに関する記事の数を基に推定されたフィーダーの普及密度の増加と共に追跡しています。

変化はそれだけではありませんでした。全体としては、世代を追うごとにアナハチドリのくちばしが長くなっていた一方で、分布の北端では逆の傾向が見られました。そこではくちばしが短くなっていたのです。これは、寒冷な気候に適応するために、鳥たちが保温力を高めるよう進化していた可能性があります。科学者たちがサーモグラフィを使って観察したところ、アンナハチドリは室温によってくちばしから熱を逃がす量を調節していることがわかりました。クチバシが短いほど熱を逃がしにくいため、寒冷地ではクチバシの短い鳥が有利になると考えられます。

この新しい研究によって、アンナハチドリが人間の手によって変化した環境に素早く適応する天才であることが浮き彫りになったが、なぜ他のハチドリよりうまく適応できているのかは説明できていない、とSteell氏は指摘しています。しかし、エメラルド色の背中とバラ色の喉を持つこの鳥たちは、もっと科学的な注目を浴びるべきで、ハチドリは「都市化に直面したときの可塑性と適応力を研究する理想的なモデルシステム」になりうると述べています。

出典：Alexandre, et. al. “Supplemental Feeding as a Driver of Population Expansion and Morphological Change in Anna’s Hummingbirds.” Global Change Biology. May 21, 2025.
画像：Adult male Anna’s hummingbird (Calypte anna) visits a bird feeder. (CC BY-SA 3.0) via Wikimedia

研究者らは、石灰石と海水を組み合わせ、船舶の排気ガスから排出されるCO2を安定性の高い重炭酸塩に変換する船上システムを開発しました。

文：Anthropocene Team
2025年7月3日

世界経済は世界中に商品を送ることに依存しています。しかし、海運業は二酸化炭素を多く排出しており、世界の炭素排出量の3％を占めています。このままの成長率が続けば、海運業は2050年までに世界の炭素排出量の約10％を生み出す可能性があります。

海運もまた、飛行機と同様、脱炭素化が極めて難しい分野です。しかし、科学者たちはこのほど、海が自然に二酸化炭素を吸収するプロセスを模倣し、船舶の排出量を半減させる新技術を開発しました。この新技術は船舶に搭載され、船舶の排気ガスから発生する二酸化炭素を重炭酸塩に変換します。この重炭酸塩を多く含む水は自然界にも存在し、数万年にわたって安定しているため、海に戻すことができます。

「これの何が素晴らしいかというと、シンプルであることだ」と南カリフォルニア大学（USC）のWilliam Berelson教授（地球科学）はプレスリリースで述べています。この研究は Berelson教授とカリフォルニア工科大学（Caltech）のJess Adkins教授（地質学・惑星科学）が主導し、その成果は『Science Advances』に掲載されました。

海運業界は、バッテリーや持続可能な水素・アンモニア燃料の利用を試験することで、より環境に優しい業界を目指そうとしています。しかし、これらの技術は依然として高価であり、燃料は必ずしもクリーンな資源から得られるとは限りません。

クリーン燃料が実現するまでは、船舶が排出する二酸化炭素を削減する必要があります。そこでUSCとカリフォルニア工科大学のチームは、自然のメカニズムを加速させるルートを考案しました。海は、大気から大量の二酸化炭素を自然に吸収します。また二酸化炭素が水と反応すると炭酸になります。この炭酸は不安定で、分解されて安定した重炭酸イオンになります。

研究者たちが開発したシステムでは、船の排気ガスが船内に汲み上げられた海水と混ざります。二酸化炭素は水と反応して酸を生成し、その後、石灰岩の上を通過し、酸は石灰岩と反応して重炭酸塩を生成します。このように処理された重炭酸塩を含む水は、再び海に戻すことができます。

実験室で化学反応を小規模にテストした結果、このシステムは予測通りに機能することがわかりました。研究者たちはまた、重炭酸塩を多く含む水が海に放出された場合に何が起こるかを分析するために、コンピューターシミュレーションを実施しました。このモデルでは、中国とロサンゼルスを10年間継続的に往復する船を想定しています。その結果、放出された水が海洋のpHと化学的性質に与える影響は1.4％未満であり、二酸化炭素の排出量は50％減少することがわかりました。

Adkins教授はスタートアップ企業、Calcareaの共同設立者兼CEOで、現在、商業船会社との試験導入に向けた協議を進めています。

出典：Sijia Dong et al. Potential of CO₂ sequestration through accelerated weathering of limestone on ships. Sci. Adv., 2025.
画像：Ian Simmonds on Unsplash

Applications are now open for the 7th TERRA+ (Transdisciplinarity for Early Career Researchers in Asia+) School, an intensive, short-term course focused on transdisciplinary research (TD). This year’s TERRA+ School is hosted by the Research Institute for Humanity and Nature (RIHN) and the Future Earth Japan Global Secretariat Hub. Participants will gain exposure to TD principles, tools, and methods, and have the opportunity to connect with a diverse network of researchers and practitioners.

The program will take place in person at RIHN in Kyoto, Japan, from December 4–9, 2025. The course is free, with a limited number of travel grants available for participants from Asia. Slots are open to candidates from around the world who are able to fund their own travel and participation.

This year’s School will be held consecutively with RIHN’s International Symposium on Capacity Building for Green Transformation, which will be held at the same venue on December 10-11, 2025. This provides participants a unique opportunity to pitch ideas, expand their professional networks, and explore future collaboration opportunities.

The TERRA+ School offers:

• Intensive training in TD research approaches and methodologies
• Practical experience with TD tools and concepts
• Opportunities to build connections across regions, disciplines, and sectors
• Access to potential fellowships and collaborative projects
• Membership in a growing global network supported by Future Earth and RIHN

Eligibility Criteria:
Applicants must meet the following requirements:

• PhD student or postdoctoral researcher (within the last 10 years), or sustainability practitioner with 5–10 years of relevant experience
• Active or interested in bridging sustainability research and practice
• Proficient in English

Selection Process:
Participant selection will occur in two stages:

• Future Earth members are invited to nominate up to two candidates from within their networks. Please complete the nomination form by August 20, 2025.

• Applicants must complete the application form by 6:00 PM Japan time on August 24, 2025. Early submissions are strongly encouraged. Successful applicants will be notified by mid-September 2025.

To learn more, check out reports and blog posts from previous TERRA⁺ Schools, and read through the 2025 program brief.

Please reach out with any questions to futureearth@chikyu.ac.jp

Attending the Frontiers Planet Prize 2025 in the mountain town of Villars-sur-Ollon, Switzerland, felt a bit like being on top of the world—literally and figuratively.

With sweeping alpine views as a backdrop, scientists, educators, students, and thought leaders gathered from across the globe to spotlight something equally breathtaking: breakthrough research with the power to shift the course of our planet’s future.

As a strategic partners for the prize, Future Earth joined this year’s event, held from 16-18 June, for the third edition of the international award. Its goal is to foster research on planetary boundaries that explores scalable, sustainable solutions to address our environmental crisis. Messages permeating the event included the urgency of upscaled action to accelerate the transition, the need for more effective engagement with societal stakeholders, and the appeal to people’s hearts: “protect what you love”.

Many pointed to the co-hosting of the Villars Symposium as a crucial component, which allowed the national champions, prize alumni, and academy representatives to mingle and interact with over 130 Villars fellows attending an overlapping and complementary educational program. The fellows are gifted young people selected by partner schools and colleges across 40 countries, representing the future hope of sustainability leadership.

The international winners were announced at a ceremony on 17 June, but not before spotlighting the research efforts of all the National Champions and their collaborators, crediting more than 380 researchers worldwide. The international winners are selected by a jury of 100 independent experts in sustainability, drawn from the  19 National Champions announced in April. Each international winner receives a prize of $1 million to develop their research efforts. In 2025, they came from Sweden, the US, and Australia and were invited to the stage to present their work’s relevance. Many in the audience said they were eager for a deeper dive into the award-winning insights.

All of the international winners emphasized the importance of research collaborations across disciplines and sectors, underscoring the collaborative spirit of sustainability science. “Of course, we know that science isn’t about individuals, it’s about teams,” said Jean-Claude Burgelman, Director of the Frontiers Planet Prize. “So we rely on institutions to nominate the lead person, and it’s up to them to divide the prize amongst their teams.”

Routes to Transformation

Over the three-day gathering, the National Champions shared their research in workshops and took part in wide-ranging conversations about how science can lead to real-world action and societal change. Not every project was ready to be scaled up just yet; some are still focused on deepening our understanding of how Earth’s systems work. That kind of foundational research is just as valuable and needs to be celebrated, too.

For research findings more aligned with action, participants highlighted that upscaling should be treated with care and forethought. What works well in one place might not work the same way elsewhere, especially given different policies, resources, and contexts. Researchers were encouraged to consider not just if a solution works, but how quickly and widely it can realistically be adopted.

When implementing nature-based solutions, industrial partnerships are often assumed to be a pathway to upscaling, but in many cases, this is not sustainable. A proven approach for improving scalability is cross-sector partnerships that co-design solutions, with scientists playing a facilitating role by providing the mechanistic understanding of the proposed solutions. A lengthy discussion was held on how the Frontiers Planet Prize could support the Champions more actively, by providing a series of interactions that could include mentorship, workshops, conference travel, and the establishment of Communities of Practice.

A common thread in discussions was the need for effective communication—from appealing to what the general public cares about, such as health risks, safety, and security, to telling personal stories, to helping people reimagine a more positive future. Scientists should emphasize the co-benefits of their solutions, for example, the positive effects of coastal restoration efforts on people’s livelihoods.

Practical measures include collaborating with policy-oriented brokering organisations, youth movements, and Indigenous Peoples, producing clear summaries and press releases, and investing in more training for scientists in science communication (which also has the much-needed benefit of supporting science journalism).

One of the national champions, Vincent Woon Kok Sin of Malaysia, said he hoped to ease the communication challenge using AI, by developing a large language model for decision-makers in different countries to provide tailored policy recommendations for managing emissions from solid waste.

To close the gap between science and action on the environmental crisis, participants highlighted the lack of systems that bring science into decision-making at local and national levels. While some countries have advisory committees to inform policy, many do not. Scientists were encouraged to join advisory groups, engage in science diplomacy, and build trusted relationships with decision-makers. Brokering or “boundary” organizations can help bridge that divide. Participants also urged science academies to take a stronger role in mentoring researchers and supporting these vital connections.

International awardees

Zahra Kalantari, Sweden’s national champion, was awarded for a study that quantifies the different ways that nature-based solutions in cities can help cut urban carbon emissions. She painted a vivid picture of a greener urban future, illustrating it with real-world examples such as New York’s regreening of a disused railway line now used for walking and cycling, and Copenhagen’s green roofs that reduce the need for air conditioning during summer heatwaves. The carbon mitigation effects come through often overlooked pathways, such as through behavioural change, microclimate regulation and resource savings. 

“This work came out of work with city planners in Stockholm 10 years ago, when we realized they just don’t consider the mitigation potential of nature-based solutions,” explained Kalantari, who is based at KTH Royal Institute of Technology. “There were no guidelines for them at city level, so we created this tool.” The study found that maximizing nature-based solutions could reduce urban carbon emissions by 17.4%, and up to 57.3% when combined with other mitigation strategies in EU cities by 2030. She had a simple message for climate negotiators at COP: consider the potential of these nature-based solutions for mitigation at the city level.

Zia Mehrabi, the US national champion, was recognized for a global analysis in the journal Science, showing that diversified agriculture can improve outcomes for humans and nature without impacting yields. Five simple strategies were investigated across 11 countries, including the use of multiple species, incorporating areas of non-crop vegetation such as hedgerows, and efforts to conserve soil or water. “What we eat and how we produce our food is probably the most important factor driving the planetary boundaries of biodiversity loss, freshwater change, climate change, and biogeochemical flows,” said Mehrabi, who is based at the University of Colorado Boulder.

The analysis, led by researchers from the Global Land Programme of Future Earth, Laura Van Rasmussen and Ingo Grass, provides evidence of win-win outcomes for farmers, particularly when multiple strategies are employed. Rasmussen added that improvements for soil were a particularly strong outcome. To deepen the impact of the research, the team will use the award to extend the analysis to include other beneficial diversification practices, build their coalition and reach inspirational leaders, build capacity in existing farming networks, and train the next generation of scholars and leaders.

The third international winner, Arunima Malik, who is the national champion for Australia based at the University of Sydney, was recognized for an analysis of international supply chains and their social, environmental and economic impacts. The work offers a multifaceted picture of how international trade can promote or hinder progress towards the Sustainable Development Goals. Asked what the award would support, she hopes to develop frameworks that can allow businesses to assess the impact of their supply chains. Bluntly, this will allow people “to choose to act to address the impacts of non-sustainable and unjust supply chains,” said Malik.

Next steps for planetary boundary science

Participants made several broad recommendations for the scientific research agenda for planetary boundary science. The concept of planetary boundaries continues to be useful, but more so for countries in the Global North than the Global South. Research exploring how applicable and tangible this framework could be to Global South contexts would be helpful.

For nature-based solutions, two research paths emerged: one local and transdisciplinary, the other global and data-driven. Exploring how these approaches could be better integrated may yield stronger outcomes. In agriculture and trade, there’s a need to assess the combined impacts of practices and supply chains on planetary boundaries—especially their effects on human health. AI is expected to support these complex assessments.

From a health and justice perspective, participants called for studies that quantify the economic costs of climate-related health impacts, do more attribution work, and strengthen monitoring systems. In water and ecosystems research, they suggested focusing on high-impact issues like drought or fire, or on sensitive regions such as the Arctic, to foster cross-disciplinary collaboration.

Amid a global rise in nationalism and populism, open scientific collaboration is more important than ever. Participants emphasized breaking down the social-natural science divide by:

• Reforming funding to support social science;
• Rethinking how universities and research institutions are structured, considering co-location of research groups to foster more interaction;
• Building shared understanding of concepts and terms;
• Changing authorship norms to promote greater diversity of gender, geography, and discipline.

We couldn’t stay on top of the world forever, but the Champions’ journey didn’t end at the summit. As they return home, they carry new recognition and influence. Their voices will be amplified on conference stages, in media, and through institutional support. As 2024 international winner Pedro Jaureguiberry of Argentina said, “winning this prize has been a game changer for my career.” Now, with three years of alumni, the Frontiers Research Foundation is building a network of sustainability leaders poised to shape the research agenda—and inspire lasting change.

The first Risk-KAN Symposium, held on April 28, 2025, at the International Institute for Applied Systems Analysis (IIASA) in Laxenburg, marked a major milestone in advancing transdisciplinary risk research. Bringing together researchers, practitioners, and stakeholders, the event launched Risk-KAN’s new leadership structure and working groups, while setting a forward-looking agenda for addressing systemic and compound risks in a changing climate.

A central theme was the urgent need for risk science to engage directly with decision-makers in policy, industry, humanitarian response, and communities. Participants reaffirmed Risk-KAN’s mission to co-design research with those affected by risk and to serve as a hub for inter- and transdisciplinary collaboration across multiple hazards.

From Open Science to Strategic Structures

While Risk-KAN has supported open science through webinars and participation in forums like EGU and AGU, the symposium highlighted the need for more durable structures. Proposals included co-supervised PhDs and postdoc fellowships to foster cross-group collaboration, potential building blocks for new funding initiatives.

Emerging Themes from New Working Groups

Several working groups presented fresh research directions:

• Climate, Disasters, Health, and Well-being (led by Martha Vogel) aims to link health outcomes to climate drivers through improved data and projections.

• Climate Risk Modelling for the Financial Sector (led by Jana Sillmann) seeks to bridge gaps between climate science and financial risk analysis by aligning terminology, methods, and policy priorities.

• Nature-based and Community-led Adaptation (led by Nicole van Maanen) focuses on evaluating the effectiveness of Nature-based Solutions and community-led approaches, particularly in regional contexts.

Each group plans ongoing engagement through seminars, publications, and contributions to major conferences like EGU.

Multi-Hazard Risk: Rethinking Science-Policy-Practice Interfaces

A high-level panel, led by Robert Šakić Trogrlić, addressed the complexity of multi-hazard risks. Panelists, including experts from the Zurich Foundation, Red Cross 510, WCRP, and VU Amsterdam, emphasized the need to move beyond siloed hazard models toward integrated, dynamic, and locally grounded approaches.

Challenges highlighted included limited data integration, static vulnerability assessments, and over-reliance on complex or opaque modeling. Tools like the Climate Resilience Measurement for Communities were cited as promising for combining quantitative and qualitative insights.

Panelists called for greater humility in scientific claims, stronger partnerships with Global South actors, and the use of storytelling to translate complex risks into actionable strategies.

Looking Ahead

Risk-KAN’s expanded working group structure will enable it to respond more effectively to emerging risks. Future plans include cross-cutting initiatives, such as summer schools, joint research, and thematic workshops, to strengthen collaboration across the network. IIASA expressed commitment to hosting the Risk-KAN Symposium as an annual event, anchoring long-term progress.

大規模に養殖すれば、海草藻場から世界のコメ生産量の7％に相当する量の穀物を生産できることが、新しい研究で明らかになりました。

文：Emma Bryce
2025年5月23日

未来の農場は、海面上昇、肥沃な土地の浸水、塩分を含んだ土壌の増加という課題に直面しています。しかし、もし農家がこのような変化に対応できるとしたらどうでしょうか？

『Ambio』誌に掲載された新しい研究は、今後ますます海産物が増加する中で、一部の土地で生産者が海草に切り替える可能性を模索しています。この研究は、海草が大規模に養殖されれば、世界のコメ生産の7％に相当する量の穀物を生産することができるだけでなく、二酸化炭素の排出量もゼロになる可能性がある、と述べています。

アマモなど、この大きな海洋植物科の植物は、水中の新芽の中にふっくらとした種子を実らせます。俗に「海米」と呼ばれるこの海洋性穀物は、先住民族の文化において長い間食料源となってきました。その名前とは裏腹に、この穀物は実際には小麦に似ており、何世紀にもわたってメキシコのセリ族がパンを作るのに使ってきました。オランダのラドバウド大学で海草の再生と生態学を研究する、本研究の筆頭著者Marieke M. van Katwijk氏は、「この論文の目新しさは、海面上昇と私たちの景観を適応させるために必要な解決策を組み合わせたことだ」と指摘しています。

彼女の論文によれば、最も野心的な気候変動対策を行っても、2100年までに少なくとも1.5～2℃の温暖化が進み、62万平方キロメートルの土地が洪水の影響を受けやすくなります。現在と比較すると、海水の影響を受ける土地の面積は80,000平方キロメートル増加することになり、このことで海草の養殖が可能になると考えられます。

アマモは品種改良されていませんが、品種改良された米が1ヘクタール当たり平均4.7トンの生産量であるのに比べて、野生種でも現在1ヘクタールあたり3～6.5トンの食用穀物を生産できます。一方、育種家はその幅広い遺伝的多様性を利用して、より収量の高い品種を開発することができます。アマモは北アフリカからヨーロッパ、アジア、北米まで広く分布しているため、さまざまな塩分濃度や温度差にも耐性があり、変化する世界で海米を提供できます。

また、海草の栄養循環能力により、高い穀物収量を得るために化学肥料は必要にはなりません。また、農家はこの海草の自然な強みを、重要な炭素貯蔵庫として活用することができると言っています。種や場所にもよるが、藻場は毎年1ヘクタールあたり50～1900キログラムの炭素を隔離することができ、その速度は熱帯林の数十倍にもなります。

海米の播種、収穫、輸送の過程で、他の農業と同様に温室効果ガスが排出される可能性はあるものの、van Katwijk氏は、将来的にこれらのプロセスが脱炭素化されれば、海草の下に埋蔵されている炭素がこれらの排出量を完全に相殺する可能性が高いと述べています。

生物多様性の宝庫として、また商業漁業を支えるなど、海草がもたらす広範な生態系への恩恵は言うまでもありません。全体として、もしアマモが将来の海面上昇によって形成される新しい沿岸海域の80,000平方キロメートルの全域で養殖されれば、農家は年間5,200万トンの穀物を生産することができます。これは世界の米生産の3〜7％に相当する量です。これは「食糧生産と生態系サービスのバランスが取れた、とても洗練された解決策だ」とvan Katwijk氏は言います。

海草の養殖はまだ初期段階にあり、商業的に展開するための適切な品種がまだありません。しかし同時に、この初期段階であることは、従来の農業の過ちを修正するチャンスでもある、とvan Katwijk氏は考えています。

一方で、海草の養殖が、世界的に減少している野生の草原を保護する必要性に取って代わることなく、その回復が優先されるべきだとvan Katwijk氏は指摘しています。海草が野生の草原を侵食したり、野生の草原を海米の商業的収穫に利用すべきではありません。一方、自然を念頭に置いて農場を設計することで、これらの景観は野生生物や海洋生物多様性を支えることができます。また、慎重に管理された寄付金制度を取り入れて、自然の草原を復元し、その種の祖先を支援することもできます。そして同時に、海米は変化する世界に適応することで、食料安全保障を向上させることもできます。

海を利用した農業は遠い未来のことのように思えるかもしれないが、私たちは今からその準備を始めることができる、また「二酸化炭素の排出量がゼロの持続可能な食料生産には、海面がもっと上昇する遠い将来に応用できるよう、今日投資すべき魅力的なウィン・ウィンの機会がある」とvan Katwijk氏は指摘しています。

出典：Van Katwiik, M. “Grain fields in sea-landscapes.” Ambio. 2025.
画像：Daniel Von Staats/NERRS Science Collaborative

炭素排出量に関する現状を変えられない人々の心理的障壁を克服するために、この新しい研究は何が有効で何が有効でないかを体系的に調べました。

文：Sarah DeWeerdt
2025年5月27日

将来について、特に自分自身と自分の大切な人々の将来についてもっと考えてもらうことが、気候変動に対する行動意欲を高める最も効果的な方法だと新しい研究が示しています。この研究では、二酸化炭素排出量に関する情報の閲覧から、環境に配慮した行動が各個人にどのような利点をもたらすかを考えるブレインストーミングに至るまで、気候変動への対策に人々の意欲を高めるための17の異なる戦略について試しました。

これまでは、このような戦略に関する研究のほとんどは、一度にひとつの介入方法を試して、それが有効かどうかを確かめていました。しかし、これにより異なる研究間の結果を比較することが難しくなっていました。しかし、研究者たちは現在、何が効果的かだけでなく、人々が炭素排出の現状を変えられない心理的障壁を克服するために何が最も効果的か、体系的に調べ始めています。

この新しい研究は、「戦略トーナメント」の一例であり、気候変動に関する複数の介入方法を同じ方法論を用いて同時に試す新しい研究デザインを使っています。研究者たちは、米国在住の成人7,624人をオンライン調査で募集しました。参加者は17の介入グループと対照グループのいずれかに無作為に割り付けられました。各介入グループは、気候行動を動機付けるための異なる心理的戦略を試しました。

介入策の効果を測定するため、研究者たちは参加者に、気候変動に関連するさまざまな行動に参加する頻度、今後多く参加する予定があるのか、またあまり参加する予定がないのか、さらに多くの人がその行動に参加したらどの程度有益だと思うかを尋ねました。

さらに参加者は、気候変動に関する5つのニュースの見出しと3つの嘆願書を閲覧し、その情報をソーシャルメディアで広く共有する可能性と、知人に直接共有する可能性の両方について質問を受けました。

研究チームのメンバーで、フィラデルフィアにあるペンシルバニア大学のコミュニケーション神経科学研究室（Communication Neuroscience Lab）と科学・持続可能性・メディアセンター（Penn Center for Science, Sustainability, and the Media）の博士研究員、Alyssa Sinclair氏は、「この研究により、人々に気候変動の未来を想像させること、特に自分自身や親しい他人を巻き込んだシナリオを想像させることが、行動意欲を高める最も効果的な方法であることを発見した」と言います。このような未来志向の介入には、将来、気候変動による悪影響を自分が経験することを想像することや、人々が住める地球を確保するために実施した取り組みについて、大人になってから読めるように子どもに手紙を書くことなどが含まれます。

「気候変動に関するニュースや嘆願書を共有する意欲を高めるには、気候変動を自分自身や自分の大切な人に関連づけるよう促すのが最も効果的だった」とSinclair氏は指摘しています。これは例えば、子どもへの手紙や、気候変動に関するニュースの見出しがなぜ自分や知人に関係があるのかを参加者に説明してもらうことなどでできます。

この研究結果は、米国科学アカデミー紀要に掲載されました。

気候変動対策の有効性に対する人々の認識を高めることを目的とした介入は、この目標を達成したものの、実際には行動そのものを促すものではありませんでした。「以前の調査では、知覚されたインパクトは、環境に良い行動をとる意思と関連していることがわかった。しかし、これらの結果は、知覚されたインパクトを高めることは役に立つかもしれないが、行動の動機付けには必ずしも必要でも十分でもないことを示唆している」とSinclair氏は説明します。

研究者たちはまた、個人の二酸化炭素排出量に関する情報を提供することは気候変動コミュニケーションの戦略として頻繁に実施されているにもかかわらず、行動や情報共有を促すのに効果のない介入策であることを特定しました。

子どもに手紙を書くことは、63カ国で11の異なる気候変動に関する介入策を試した、最近の別の研究でも効果的な戦略として浮上しました。その研究では、気候変動や気候変動対策に懐疑的な傾向のある米国の政治的右派の人々にとっても、手紙を書くことは効果的であったと指摘しています。

この新しい研究では、参加者は全員気候変動の存在と人為的な原因を肯定する、つまり米国の政治的左派の立場を取る人々でした。「現在進行中の研究では、リベラル派にも保守派の人々にとっても有効な介入策を模索している」とSinclair氏は言っています。研究者たちはまた、人々の意図だけでなく、日常的な行動に対する介入の効果を測定する方法も模索しています。

出典：Sinclair A.H. et al. “Behavioral interventions motivate action to address climate change.” Proceedings of the National Academy of Sciences 2025.
画像：©Anthropocene Magazine, AI-generated

Zia Mehrabi, a member of Future Earth’s global research network the Global Land Programme, was named one of three international winners of the 2025 Frontiers Planet Prize. 

Mehrabi was recognized for a study published last year in the journal Science that found widespread diversification in agriculture could improve both human and environmental health. Representing the United States, he received the honor during a June 17 ceremony at the Villars Symposium in Switzerland as well as a prize of $1 million to be used to further his research.